top of page

『私がベースをはじめた理由』

詞・曲:田宮 歌:GUMI

線路沿い、トンネルのような
薄紅色の並木道を
自転車はスピードに乗って
くぐり抜けていく
13時ちょうどの新幹線で
君はこの町を離れていく
立ちこぎのまま汗ぬぐって
またペダルをこいだ

ふと鼻先をかすめた花びらが
もう二度と会えないような気持ちにさせた

あれは去年のこと、
吹奏楽部宛の入部届持って向かう途中で
聞こえたギター、歌う声に
気付いたら足を止めていた

博多行きの快速列車
ベース持ったまま走り込んだ
息切れで頭の中が真っ白になってた
やけにがらんとした車内に
想い出がぶわっと過った
涙があふれそうになって窓の外を見てた

本当は淋しすぎて、その分意地をはって
後悔した頃にはもう手遅れ
いつもそう、繰り返してばっか

卒業式の帰り道
さよならってそっけなく言った
ありがとうさえも伝えきれない
自分に腹がたった

着いた5番ホーム、人混みの中
改札まで5メートルの距離
そしてスローモーション
涙浮かべ引き返してく仲間が見えた

沈む夕日の中、こぐ自転車
人目もくれず、泣きじゃくりながら

『結局大事なこと、また言えなかった…』

ふとその時、頬をぬぐうかのように
やわらかな春風が吹いた

bottom of page